北アルプス ランプの山小屋 船窪小屋

霧の中 長丁場行く 登山者は 後列返り 振り返り 天空の中に 消えゆくごとし

7月29日 (13度)濃霧

霧の中 長丁場行く 登山者は 後列返り 振り返り 天空の中に 消えゆくごとし

久しぶりに曇天の朝を迎えました
昨日までは空梅雨をはさんで2週間ほど晴天続きでした。

お父さんは水槽の水量を気にして「水は節約してくれ 女子トイレの手洗いもお座敷用に変えるぞ。水栓はひねっても水は出ないよ。
嫁は水ばっか使って困りもんだ!」と言っています。
昨夜からは毎晩見えていた星空も、おぼろに霞んでしまいました。遠いふもとの空には入道雲が湧いて、時々稲光が激しい光を放っています。
今シーズンから小屋番入りしているひかるさんは、稲光が珍しいとか。「お母さん私こんなの初めてです。雷鳴が聞こえないのに、あんな強烈な光が出るんですね・・」
といいながら盛んにカメラを向けています。
その雨も少しこちらに向いて来たようです。そろそろ降ってほしいと思いつつも、朝の天候次第でお客様は行程を変更してしまうので、複雑な思いです。

先日(土、日)24日、25日は、針の木古道の道草刈りが行われました。
おさんぽ隊長のもとに集まってくれたのは、大沼さん、塩ちゃんの他は女性4名。特に腕に自信のある強豪揃いでした。
1日目より2日目の方が捗が行ったようで、帰りも少し早めでした。静岡から参加された大沼さんが背負って来られた静岡名物の大玉西瓜をガバッと切って汗だくで小屋にたどり着いたメンバーに食べてもらいました。
私やペンパ・ひかるちゃんは、丁度夕食の支度の真っ最中で仲間に入れませんでしたが・・・。
昨日針ノ木谷を遡行して来られた3人の登山者の方は「綺麗に道が整備されていて助かりました。いい谷ですね。改めて黒部の魅力にふれましたよ」
と、すっかり感心していました。
今回はお父さんは参加できず、すべておさんぽ隊長まかせでした。道しるべの会草刈隊の皆様ありがとうございました。

昨日、昼頃にひかるさんの友人iさんが訪ねてきました。
庄内砂丘の大きな「メロン」を2ヶと吟醸酒、ゆず酒、あんぱん等、次々と新調されたばかりの”カリマー”のザックから、びっくり土産が出てきました。
「これは重かったね。しっかり食べて休んで下さい!」と皆で歓迎です。さわやかで美男の彼はすっかり照れているようでした。
天気続きの北アルプスですが、好天にもかかわらずお客様の数は少ないようです。
船窪小屋も昨年より客足が少ないのです。今夜は8名のみ。遊書後のお茶会には彼差し入れの「メロン」も出して、皆さんで食べてもらいました。
7月30日食べころと書いてあり、今夜は2日前ですが、12等分にカットされたメロンはトローッと甘く、ほのかな香りと共に私どもの喉を心地良く潤してくれました。
テント泊で、夕食のみ、小屋食で注文した彼はお茶会にも招かれてこの美味しいメロンも食べれたことに大感激!「栂池から入山して今日が5日目です。焼岳まで行くつもりですが、ここが中間点です。こんなに美味しい夕食と珍しく美味しいメロンまで食べさせてもらったので
明朝は3時に起きて出発します。本当にありがとうございました。」と言って、テント場へ帰って行きました。

私もお父さんも一年毎に体力が落ちてしまいました。お父さんも「針ノ木谷へ下るのはいいが帰りがなァ」と言って、行くのをためらっています。
私もお客様が少なく忙しいわけでもないのに、昨夜は夜中に足がつって、ふくらはぎが痛く、大騒ぎしてしまいました。津村の68番を飲んでみたのですが、効き目はどうか・・・。
そんなわけで、船窪だよりもひかるさんに任せっきりになってしまいました。
彼女は女子大出の才嬢でウイットに富み、イラスト画をサラサラと書きこなし爽やかなお客様への対応は大人気です。「若女将、おてもいいですネ」とお客様からお褒めを頂き、私も「よろしくお願いします」とお答えしています。

船窪小屋へお泊りのお客様の多くは、百名山を終了し、200名山300名山を目指す人や、稜線を赤線で結んでいるが、このコースだけ抜けてしまいどうしても気になる、最終の完結、完成をする為に来ましたという方が多いのです。
そんな話を毎夜行っているお茶会の折に聞いていたひかるさんが「お母さん、このコースは縦走や北アルプスを完結する登山者にとって”おおとり”の場所なんですね。これからは私、そう思ってこの素敵な船窪小屋を皆さんに紹介していきますね」と言ってくれました。
「そうだ!ひかるちゃん、よく言ってくれたね。今後はそういう場所にふさわしい船窪小屋であるよう、私もスタッフ全員が心掛けていこうね」と改めて心に誓うのでした。
先日来られた農大OBの小笠原氏もこの玄関前のテラスに腰掛けて「やー素晴らしい眺めですね。ここはエベレストビューホテルをしのぐ眺望ですね。お母さん、私にとっては世界一の場所ですよ!」と、おっしゃって下さいました。
晴れた日に望む船窪小屋からの眺望は本当に素晴らしい限りです。「岳人の”おおとり”のコース」にふさわしい船窪小屋で在りたい!これからこの言葉と意味の重さを噛み締めながら日々大切に生きて行こう!と改めて感じています。

そして今日昼頃、小屋開け以来久しぶりにフッチーさんが来られました。4年前の10月白馬清水岳で事故に会い、復活された九州のNさんをお連れして、針の木から稜線を通って、しかも雨の中をずぶ濡れになって到着されました。
ほんとに久しぶりにお会いしたNさんは至って元気です。昨日まで晴天続きだったのに、今日は何と分が悪いことでしょう。
「お母さん、私体力が落ちましたよ。すっかりバテてしまった。着替えてビール頂きます」と言って、賑やかに乾杯が始まりました。
「お母さんの日記が載るのが少なくなりましたね」とさりげなく注意されました。
今シーズンは絵手紙でご挨拶をしよう、などと思っていたのですが、思うにまかせず甘い考えだったと反省しています。


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“霧の中 長丁場行く 登山者は 後列返り 振り返り 天空の中に 消えゆくごとし”に対するコメントが3あります。

  1. Tweets that mention 北アルプス ランプの山小屋 船窪小屋公式ウェブサイト[船窪小屋ねっと] ≫ Blog Archive ≫ 霧の中 長丁場行く 登山者は 後列返り 振り返り 天空の中に 消えゆくごとし -- Topsy.com さんのコメント:

    […] This post was mentioned on Twitter by しお, 船窪小屋~北アルプス ランプの山小屋. 船窪小屋~北アルプス ランプの山小屋 said: [更新] http://tinyurl.com/26ch9q2 […]

  2. 吉田守 さんのコメント:

    7月28日(水)に夫婦でお世話になりました吉田です。あれから小雨の中を悪戦苦闘しながら七倉へ無事に下山しました。葛温泉に一泊して翌日10時間かけて岡山の自宅まで帰りました。夫婦で話したのですが、今まで北海道から九州まで多くの山に登りましたが、一番印象深い山行になりました。本当に苦労して伺った甲斐がありました。ペンパさんの鳴らす鐘の音とお茶のサービスにびっくりするとともに大感激、お父さん、お母さんの心のこもったお話と料理、ひかるちゃんのサービス精神旺盛な明るい笑顔、夕食後の交流会、どれも大満足でした。家内は昨年の山行で足首を痛めておりましたので不安でしたが、あの鎖場や鉄梯子、急登もこなしずいぶん自信が出来たようです。ところで皆で写した写真はHPには掲載されないんでしょうか?いずれにしても楽しい思い出深い山行でした。ありがとうございました。

  3. hikaru さんのコメント:

    >>吉田守さま

    こんにちはo(^-^)o
    とても良い山行になられたようで、その一部に船窪小屋の時間があると思うと、とても嬉しいです。
    あの晩は、お客様の数こそ少なかったですが、ゆっくりとお話でき甘い果物あり、吉田さまの素晴らしい歌のお返しがあり…充実したお茶会になり、こちらこそありがとうございました。
    お父さんが後日のお茶会でも吉田さまの歌声を話題にしておりました。

    皆さんで撮った写真ですが…、デジカメで撮ったはいいのですが、残念なことにアップロードできる環境にありません。
    ですので、いつかこのブログでお披露目はしたいと思っておりますので、
    是非楽しみにしていて下さいね(^o^)/

    またあの歌声が聴けることを、楽しみにしております(*^_^*)

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