北アルプス ランプの山小屋 船窪小屋

9月26日(土) 曇りのり晴

夜明けが遅くなり、目覚めも遅れがちにこの頃です。
あっという間に過ぎた下界での3日間。身体のアカは落ちましたが足のほうはいまひとつ・・・。キネシオテープをいっぱい貼り付けて七倉を6時に出発することが出来ました。
先に行く人も、後から来る人も確認できないまま、鼻付き八丁下に到着したのは8:50。とど松やオオシラビソの樹間に生えているナナカマドや大カエデ、ドウダンツツジなどが見事に色づき、
暗い森を明るく彩っています。
ハシゴを登り終えると森林限界上のトラバース。真紅と少し黄味を帯びたナナカマドとウスゴ、ダケカンバの樹間に続く小道は、まさに錦秋の秋たけなわの稜線に続く花道のようです。
その道を何年か振りで通ることの幸せを噛み締めながら、ゆっくりゆっくりと登っていきます。辿り着いた天狗の庭。天空の続く視界の先に伸びる風景。花崗岩の岩肌とよくマッチして、足元を
染めているクロマメのえんじ色と天落葉松の黄金色、全ての木々がもみじして、不動沢や七倉沢に去来する霧に見え隠れしながら私の目の前に在ります。ここに身を置くことに至福のひと時を感じながら、
立ち尽くしている自分が不思議に思える程です。
この花道も稜線のお花畑に達する頃、2人の下山する女性と出会いました。「ウワサの山小屋に立ち寄らせてもらいました。どうぞお元気でいらしてください。次は泊まりに来ます」
とにこやかに話しかけてくださいました。「ありがとうございます。次の日をお待ちしていますね。秋の山をしっかり堪能して下ってくださいね」と言って別れました。
お花畑も美しく紅葉して、ワレモコウの群落がひと際美しく濃いえんじ色に色づいていました。いつにない疲労感を味わいながら小屋に着いたのは12時30分でした。


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