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親睦スノーシューと草刈りサミットの夕べに参加して・・・

2月7日夕刻までにベルグハウスに、懐かしい顔ぶれが集ってきました。
 小屋の戸を固く閉め、輝くような紅葉の七倉尾根を下った日以来の顔もあれば、まりさんを南極に送り出す壮行会の日に一緒に拍手を送った顔もあります。そして・・・数年ぶりの・・それぞれの場所でそれぞれの長い時間を経て来た懐かしい顔もあります。
 心づくしの美味しいお食事の後、お父さんとお母さん主催で、今後の船窪小屋の課題についての話し合いの会がもたれました。
 数年来、お父さんが心を傾けて、開通に向けてひたすら作業に励んで来た針ノ木古道を守るために、船窪に連なる仲間で力を出し合って欲しい・・・というお二人の祈りにも似た気持ちが、この夜、語られました。 
 夏の船窪小屋で出会った私たちを結びつけているのは、皆の心に宿っている山からもらったかけがえの無い感動と安らぎなのです。この私たちが共有している同じ思いを集めて一つの力にして、大切な物を守るために使う事が出来たら・・と、思ったにちがいありません。今、お父さんとお母さんが、この力を必要としていることを・・・居合わせた人々はそれぞれ感じていた事でしょう。
 私たちを天空の場所にまで誘ってくれる登山道を救い出し守る為に、草を刈り、登山靴の底に当たる石や、足元をすくいそうな岩を動かし、意地悪く跳ね返ってくる枝をはらう作業を、山を、船窪小屋を愛する気持ちのささやかな表現として・・・お手伝いできたら・・と思った夜でした。
 この同じ思いを集めて形にする為にお二人の提案で「船窪道しるべの会」と名付けられた会が生まれる事になりました。 それは・・登山道の道しるべであると同時に・・・これまでの、お父さんとお母さんの船窪での長い時間に付けられた「時の道しるべ」でもあるのかもしれません。
 初めて長くて辛い七倉尾根をひたすら登り・・・疲れ切った体と心に「ようこそ、船窪小屋」の文字が涙のような暖かさで押し寄せてきた日の事を、一生忘れない為に・・・私もこの会の一員に加えて頂こうと思ったのです。
 
 この夜、栂池には20センチ程の雪が降りました。

 翌朝のスノーシューツアーはお父さんをリーダーに出発。夏の登山道で毎週末、思い草刈り機を肩に食い込ませながら黙々と作業をしていたHさんは、今日はその背中にスノーシューを背負い、心強いサブリーダーとなっています。
新しく降った雪が足元に柔らかくまとわりつく森の中を15人が1列となって進んでいくのですが・・・冬の自然の中に、心も体もとけ込ませ一体となる幸福感を感じさせられる至福の時でした。森は雪に包まれていますが・・・樹々の枝先にはささやかな、新しい命の証である針の先ほどの小さな新芽が、赤らんだ愛らしさで、春の予感をそっと教えてくれているかのようですし、雪の斜面をこぼれて滑ってくる2月の光は・・・もう・・・間違いなく春の優しさを隠しきれません。ささやかで,密やかな季節の儀式に立ち会っているかのような喜びを感じさせられました。風が強くなってきた為に、自然園の手前でおやつを頂いた後、帰路につくことに・・・。一面の新雪で私たちを迎えてくれた「神の田圃」を、まるで、こどもみたいにはしゃぎながら横切ってゴンドラ乗り場までたどり着いたのですが・・・なんと強風のためゴンドラの運転は中止となっており、ゲレンデを歩いておりることとなりました。しかし・・・このハプニングのおかげで、貴重な体験もすることができたスノーシューツアーのエンディングでした。

 雪の栂池で、船窪小屋に続く道に注ぐ仲間達の思いを改めて確認し合いましたが、カレンダーを3枚めくり、柔らかな季節が訪れる頃・・・シャクナゲの咲く七倉尾根も、シラネアオイの薄紫色の花びらが重なりあう船窪ピークへの道も、雪解け水がきらきらと輝く針ノ木谷も・・・お父さんやお母さんや、船窪小屋から素晴らしい時を貰った私たちが訪れ、道と対話しながら作業する日を待っているような気がしています・・・。

私自身の心のうちにも・・・小さな道しるべを作り・・・ゆったりと、丁寧な歩みができることを願いつつ、こうこうと輝く満月の光を浴びながら、帰宅の途につきました。

 

By KON