
梅雨空も空け切らない6月29日 七倉尾根を登り船窪小屋に着いた。夏山シーズン小屋開きの為である。
ヘリコプターによる荷揚げと共に登る予定であったが、天候が定まらない毎日だったので、私は単身小屋に入ることにした。
小屋は昨年秋に小屋仕舞いをした時のままの姿で、午後の日差しの中に佇んでいた。すべての窓は鎧戸をボルトで内側より締めてある。
シャッターの錠が破れたので玄関はしっかり釘づけになっている。夫に教えられたバールの隠し場所を探し、ゆるめに打ち付けてある処所をこじたら簡単に釘は抜け、玄関にはめられた板戸はすぐに外すことができた。入り口の戸を開けると懐かしい小屋の匂いと共に昨年忙しく梱包した荷物が囲炉裏の周りに置かれていた。「ただいまーっ」と大声でさけび、暗い小屋に入った。急いで窓々のボルトを緩め、鎧戸を外すと、小屋の中はサッと明るくなった。よし、今日から私の夏山シーズン小屋番のスタートである。 |
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