曇のち小雨
目覚めたのは戸外にサッサッサッという足音を聞いたからです。まさしくそれはおさんぽ隊長さんの足音でした。スポーツ刈りの人なつこい目が、鐘を鳴らしながら「おはようございます」と立っていました。
「おーい、えれえ早いじゃねえか」西沢さんも田中さんもびっくり。
軽々と持ち上げた背負子の箱の中には、玉ねぎ、キャベツ、りんご、じゃがいも、肉、トマト、おかし、等その他・・・これだけあれば3,4人で10日はしのげそうです。朝飯は昨日の残りとし、味噌汁だけ作ります。
今日の作業は専門職一名とベテラン3名が朝から揃いました。
「それじゃあ雨樋からだネ。早めにやっちゃうか」と男衆は残った鎧戸外しと雨樋付けに余念がありません。
小雨が降りだした頃宮島会長、向井さん、まりさん、今ちゃん、速見夫妻節子さん、大沼さん、ぞくぞく集まって、夕方には15名ほどになりました。
それぞれが持参してくれた食料は山のようになり、何から食べましょう!と豊かな食材にあれこれメニューの算段に悩み始めています。
その辺りは西沢婦人、今ちゃん、まりさん等々ベテラン主女にお任せして、私は作業監督となってしまいました。
昨年小屋閉めに用意しておいたペットボトルの水も大活躍!まだ天水の溜まらないタンクからは一滴の水ももらえません。
この水は今日も明日も雨が降って天水がタンクに溜まってくれるまで貴重に大切に使わなければなりません。
ブルーシートに包まれた布団の中からは小屋閉めの時しっかり凍み無いように包まれていたビールの箱が運びだされ、8ケース程積み上げられています。
とても今夜や明日には飲みきれません。そのビールを冷やす為に七倉稜線にある残雪を背負子につけて運んでいるのは誰でしょう。
大バケツと大ボールの中には雪がいっぱいとなり、すでにビールがいっぱい雪に差し込まれています。
今夜はお父さん不在の中、小屋開き大宴会となるでしょう。
楽しい夕食の後、まりさんの「南極での越冬報告」が楽しく行われ、フルートの美しい曲が小屋の中を豊かに響き渡って、全員満ち足りた思いを胸に床に就いたのでした。
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