北アルプス ランプの山小屋 船窪小屋

4時起床。外で物音がして西さんの話し声がします。「おさんぽ隊長」が到着したのです。30Kの荷物を担いできました。発泡スチロールの箱とダンボール、その中には、卵と野菜、魚と肉、一通りの食材がぎっしりと詰まっていました。今シーズンも若い力が船窪小屋へ訪れてくれました。
天気もいいし、人でも揃ったので、布団星をすることに。屋根上に、西さん、投げ上げ係がおさんぽ隊長、横内さんが中間にお連れ塩いりさんは中で、「お母さんは司令塔ですからね」ということで、布団干しは全員汗だくで1時間ほどで終了しました。今日は7月第2週に船窪小屋で結婚式を挙げる二人と、お仲人さんが下見がてら登ってくる予定です。
当人達より先にお仲人さん2人が到着しました。元気印の奥様と、旦那様。お二人の話によると、後から10人以上の人が登ってきますよ。ということです。「そうか、今日は皆さんに上げに協力してくれるために食糧持参で登ってくれるんだ。何人になるかな?」と私も西さんも横内さんもそわそわし始め、なんとなく落ち着きません。
機能から手を付け始めた厨房の掃除、3cm位の山小ねずみの仕業により、アルミマットやダンボールが2ミリほど食いちぎられ、黒いゴマみたいな糞と一緒になって床面に散乱しています。足で踏む場は、放棄で掃いてのですが、片隅や戸棚の奥はこれからです。外は快晴でさわやか、布団は順調に乾燥しているようです。2人、3人と到着、ベンチ周りは賑わいを増してきました。厨房内も綺麗に掃除が出来ました。
伊那谷から来られた田中さん、おいしい草餅を差し入れ、他にトマト、きゅうり、レタス、セロリ、その他今夜のメニューは揃いました。小屋前のベンチで飲む雪で冷やしたビールの味。屋根の上で乾いた布団の匂い。初めて鳴らす玄関の鐘の音。残雪に輝く立山、つるぎ、針ノ木、五色、薬師、エボシ、槍穂、裏・表銀座、この空気と味は、この日のこの場で実感した人にしか味わえない「至福」の時と味です。
最終的に人数は何人になったでしょう。花嫁・花婿とシンガリを務めた松下大先生を迎え、26名になりました。
それぞれ持参した食糧と越冬ビールにより、心づくしの夕食の食卓は満艦飾となり、事実上の小屋開け祝宴となり、司会をフッチ氏にお願いし、大宴会は盛り上がりました。
7月11日行われる結婚式の主役は有明に住むKさんとHさん。お仲人さんはの姫野ご夫妻により、二人の馴れ初めと紹介があり、正午は松下さんの演奏会です。
長年愛用されたアコーディオンを今冬は船窪小屋で羽毛布団に包んで越冬させたのでした。愛器を布団から出して、確かめて居られるさまは、正に名演奏家の風格を漂わせています。26名の登山家全員が、彼の名演奏に酔いしれ、太陽の沈んだ西の空に輝く一番星に、今シーズンの幸先を祈ったのでした。


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