北アルプス ランプの山小屋 船窪小屋

南極の井口さんより。

松澤様、船窪小屋の皆様

ご無沙汰しております、昭和基地の井口です。
今年はそちらは雨が多いのでしょうか。
こちらは極夜が明けたところです。

でもう少し早く見えるはずと気水圏の研究者が予測していました。
それに蜃気楼も加わって「あれ、出てる!」ということになってしまいました。
写真は5分間隔でシャッターを切って合成してもらったものです。
”転がる太陽”というのがこれです。
私のカメラは自動の設定ができないので、つきっきりで1枚分撮るのに40分、
マイナス20℃では少々つらいです。
もう一枚の写真は幻日です。太陽の両サイドに虹のような幻日が見えています。
そしてここに至って気温は本格的に下がり始めました。
最低気温はマイナス38.5度で今年の記録を更新中です。

7月13日、国際宇宙ステーションの若田さんと電話で話しました。
12日夜、隊長がいきなり医務室にやってきて若田さんから電話があって
私を呼んでいると言われました。
電話を転送する際のトラブルでそのときは話せなかったのですが、
翌日本当に電話があり、2回話しました。
声は非常にクリアですが、どこを経由するのかタイムラグは相当あります。
向こうは秒速8kmで飛んでいるので、昭和基地と交信可能な
時間帯はかなり制限を受けるようでした。
今回JAXAと共同研究をしている関係で、私たちも若田さんも
ホルター心電計をつけることがあるので、
おなじ?極地どうし、一度話してみたかったということでした。
あとオーロラの話とか、ゴミのリサイクルの話とか、千島列島の火山の
噴火をみたとか…。
北緯51度と南緯51度の間を飛ぶので南極は見えないそうですが、
オーロラはアフリカとオーストラリアの間から見えたそうです。
私たち50次観測隊のワッペンは公式飛行記念品となって一緒に飛んでいました。
その写真も送っていただきました。

このところ少し天候が落ち着きましたが、それまでは
ブリザード続きで除雪に追われていました。
1回のブリで建物2つが一塊となって埋まってしまうほどのものすごさです。
求人案内には毎日”重機オペレーター募集”と出るので、私も乗っています。
しかし免許は取ったものの、自分で自分を埋めて出られなくなったりするので、
操作のテクニックだけでなく除雪には戦略が必要です。

これから夏本番、となるといいですね。
しかし暑いさなかの針ノ木古道の整備は大変でしょう。
どうぞ無理なさらないように。
皆さまによろしくお伝えください。ではまた。

井口まり

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