北アルプス ランプの山小屋 船窪小屋

5月24日 七倉登山道落ち掻き – 6/7写真追加

雨に濡れた木々が香しい緑の香りを放つ中、七倉の駐車場に集ったのは13人。
しっかりと積もった落ち葉の下には、半年間の眠りについていた登山道があります。
朝まで降っていた雨は、作業を始めると同時に上がり、濡れた落ち葉の放つ豊かな森の香りを感じながら・・お父さんを先頭に・・13人が落ち葉を掃きながらゆっくりと進んで行きました。厳しく孤独だった冬の季節、私たちの知らない間にも、このブナの森の中では、様々な自然のドラマが繰り返されていたことを教える痕跡がたくさん残っています。思いもよらない姿で倒れてしまっている大きな木。転がってしまった石。登山道の真ん中をえぐるように出来た水の流れの跡・・・、風に払い落とされた木々の朽ちた枝・・・。まるでパズルのように、いりくみ複雑に絡み合った姿をさらしている木の根。すべて、私たちが、7ヶ月前に小屋の扉を固く締めてこの道を下っていったあの日から、昨日までの間に起きた密やかなドラマの痕跡なのです。
そして・・・今、5月。また、たくさんの人たちがこの尾根を登って行く季節がはじまろうとしています。お父さん、お母さんの「ようこそ船窪小屋へ」という心遣いは・・この道へも注がれているのです。
落ち葉の下から掘り出した道には・・新しい生命のよろこびが、そこいらじゅうにあり、繰り返される確かな自然の喜びを感じさせてくれました。
シャクナゲの淡い花が、登山道を飾り、オオカメノキの白い花が足元にこぼれ、そしてイワカガミの濃いピンクの花がつややかなその葉とともに、登山道の脇で、熊手を手にした私たちを見上げ、森の柔らかな若葉は風をうっすらと緑色に染めているようでした。
2合目あたりまで掃き進み、倒木や、根や転がった石も片付け、作業は完了しました。昼食をすませ、うっすらとかいた汗が、ひんやりとしてき始めた頃・・樹々の緑の間から小さく見える小屋に手を振って・・・今登って来たばかりの道を引き返しました。
いったい、今年はこの道をどれだけの人が通るのでしょうか・・・。
そして・・・船窪小屋のいろりを囲んで、どれだけの人と、この道の話をする事ができるのでしょうか?
この日、13人がそれぞれの、ささやかな自分だけの小さな「山開き」をした一日だったかも知れません。
船窪落ち掻き隊の一団が駐車場に降りてくるのを待っていたかのように、また、雨が激しく降り始めました。

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“5月24日 七倉登山道落ち掻き – 6/7写真追加”に対するコメントが1つあります。

  1. 竹村みゆき さんのコメント:

    お父さんお母さんその後如何ですか?お二人のご健康心より案じております。癒しと平安がすみやかに与えられます様に、私の通う板橋教会でもお祈りさせて頂いております。また夏にはお目にかかれる事、杯を交わす事、ネパール民謡を歌う事、いろいろたくさん楽しみにしておりますから、どうぞお体大切にお過ごし下さい。私をご紹介下さった金倉房代さんも今年はお誘いしております。ヘリポートは早く出来ると素敵ですね。船窪小屋に大きな思いあってももうあの道を登れない方々も、お父さんお母さんに会いに行ける機会が広がりますもの。たくさんの可能性を、船窪の素敵な景観と夜空の星に願いを込めて期待しております。今迄もこれからも感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

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